Bさん(第2期 40代 夫婦+子ども2人 自営業)
応募の経緯・動機
福岡市出身で、いずれは糸島に移住したいと考えているBさん。しかし東京からインターネットを介する物件探しに歯がゆさを感じ、もっと人と関わりながら地域のことを知りたい、と今回のトライアルステイに応募されました。
――折にふれて糸島にいらしていたとのことですが、実際に住んでみられて、糸島のイメージは変わりましたか?
ふだん遊びに来るときには、志摩芥屋など観光スポットの多いエリアにばかり足を運んでいましたが、今回の物件がある加布里にはあまり来たことがなかったんです。地図では町外れに見えたんですが、実は糸島のどこへ行くにもすごくアクセスの良い場所で驚きました。志摩のイメージが強かったのですが、今は、住むなら加布里より西のエリアが良いとまで思っています。思っていたよりも糸島は広くて、地域ごとの特徴にもずいぶんバリエーションがあることも分かりました。他にも、たとえば糸島市と佐賀市三瀬村がこんなに近いのか!と驚くなど、新鮮な体験が多かったです。
――観光ではなく滞在者の視点から糸島を体験されて、良かったところはありますか?
どこへ行くにも、とにかく車での移動が楽ですね。最初から車で来ることが前提になっているので、駐車場に困ることもなかったです。東京と比べると、糸島は空間が広くて、水や空気もきれいで、そういったところが糸島の「気持ち良さ」につながっているように思いました。今回は子どもたちとの時間が中心だったので、子連れで行けるところが多いのも良かったですね。志摩岐志の漁港や、深江海水浴場には、家族で何度も行きましたよ。海が近いので、暑さと人出が落ち着いた夕方から海に出て、しばらく遊んだ後で、まむしの湯や二丈温泉きららの湯に入って帰る、というパターンができていました。質の高い飲食店がたくさんあるのも糸島ならではだと思います。一番良かったのは、まだあまり有名にはなっていないんですが、パッションフルーツ農家の人が経営されている泊(とまり)にあるスムージー屋さんです。とにかく質が良いのに価格が良心的なんですよ。お客さんが増えすぎて行けなくなってしまった店も糸島にはたくさんあるので、あまり有名になりすぎないでほしいですね(笑)
――生活していく上でこれは困るな、ということはありましたか?
知らない土地なので、休日にやっている病院の情報を探すのには少し手間取りました。それ以外は、これといって困ったことはないですね。強いて言うなら、福岡前原有料道路のETCが1台しかないことでしょうか。せっかく道路が空いていても料金所ですごく混むのは納得できないです(笑)
――お子様と過ごされる時間が多かったとのことですが、糸島の子育て環境についてはどう感じられましたか?
子育てをする環境としては、東京より糸島の方が絶対に良い、と確信しました。まず、周りの人々の子どもを見る目が違うんです。東京では、子どもが少しむずがったりすると「迷惑だなあ」という空気を感じたんですが、糸島では逆に温かい視線を感じました。お店で水をこぼしてしまったりしても、いいよいいよ!と声をかけてくださったり、とにかく子どもに優しいんですね。「わくわく子どもえん(※)」や、「くらすこと こども園 おやまこやま(※)」のようなユニークな取組をしているところがあるのも面白いです。ただ、子ども向けの施設は少ないですね。夏は海や山で遊べますが、冬はみなさんどこで遊んでいるのか気になりました。
※わくわく子どもえん…二丈吉井の保育園。子どもたちの想像力や好奇心を大切にする教育方針が特徴。
※くらすこと こども園 おやまこやま…二丈深江の幼稚園。子どもにとっても大人にとっても居心地の良い園を目指している。
――いずれは糸島に、とおっしゃっていましたが、今回のトライアルステイで移住についての考えに変化はありましたか?
実は福岡市南区高宮に実家があるんです。それで、東京から福岡へ移住するにしても、高宮と糸島を天秤にかける思いがありました。今回のトライアルステイでは糸島についてわかることが増えて、現実的な手応えを得ることができたのが大きかったですね。今では、良い物件とタイミングさえあれば、すぐにでも糸島に移住したいと思っています。仕事が映画製作関係なんですが、実は映画関係者というのは、ほとんど東京に集まっているんです。ただ、最近は中国のほうが栄えているんです。福岡は上海が近いので、不可能ではないかなと思います。だから、仕事のことは心配ないといえば嘘になりますが、そこは腹をくくって環境の変化に対応していくしかないと思っています。会社員の方に比べれば、やりやすい方だとは思いますしね。
――最後に、トライアルステイ全体の感想を教えていただけますか?
とにかく2週間が短い!(笑)もっと糸島に移住した知り合いを訪ねたりもしたかったんですが、子どもたちと過ごしているだけで2週間があっという間に過ぎてしまいました。土地勘はずいぶんつきましたが、ちょうど慣れたころに帰らないといけないのは名残惜しいです。あと2週間は居たかったです。もし移住がスムーズに進まなくても、毎年夏の1ヶ月くらいは糸島で過ごしてみたいなと思いました。空家を1ヶ月借りたりして、また今回のトライアルステイのような夏を過ごしてみたいですね。
移住への心理的距離が縮まった
加布里を拠点にすることで、生活のリアルなイメージをつかむことができたBさん。特に子育て環境については、環境面でもコミュニティ面でも強い魅力を感じたようです。トライアルステイを経て、移住への心理的距離を一気に縮められた印象を受けました。