Dさん(第4期 30代 夫婦+子ども1人 会社員)
応募の経緯・動機
お子さんが生まれてから、暮らしの環境について見直しはじめたDさん。福岡市で暮らすDさんにとって、自然豊かな場所と言えば、まずは糸島でした。
――今回のトライアルステイに応募されたきっかけをお聞かせください。
今は福岡市の街中に住んでいるんですが、子どもが生まれてから、ふたりで住んでいたときは気にならなかったことが色々目につくようになってきたんです。たとえば、車の音がうるさい、夜になるとお酒を飲んで騒ぐ人がいる、車の排気ガスがひどくて洗濯物が干せない、というようなことですね。それで、自然豊かな田舎で暮らしてみたいと思い始めました。妻の実家の北九州市八幡西区なども考えたんですが、福岡市に近い自然豊かな場所と言えばまずは糸島、と思ってこの機会に応募しました。
――印象に残ったことがあれば教えてください。
家族で遊びに行った、二丈深江の深江海水浴場ですね。我が家の子どもと同世代の子が遊びに来ていて、津ガニをとったりして一緒に遊べたのがよかったです。住宅地を抜けたところにある砂浜なので、あまり人がいない穴場ですね。有名な芥屋海水浴場はがやがやした印象があって、静かな深江海水浴場の方が安心して遊べました。
――加布里地域に住んでみてよかった点はどこですか?
子どものために暮らしの環境を見直したいと思って糸島に来たんですが、排気ガスも騒音もほとんどなくて、その意味では理想通りです。特に音については、逆に子どもの声が迷惑にならないか気になってしまうくらい静かで、とてもいい環境だと思いました。地域の方々が温かくて、何かと気に掛けてくれているのが分かりました。大型スーパーのレジの人とも商店街みたいに世間話ができるんですね。どうしても昼間は母子だけで過ごす時間が多くなるので、そんなちょっとしたコミュニケーションが嬉しかったです。買い物も思ったより不便ではなかったですね。大抵のものはドラッグストアでそろってしまいますし。
――困ったことはなかったですか?
「糸島で暮らす」という点ではほとんどないですね。やっぱり車がないと不便だろうなとは思いました。ただ、それは分かっていたことなので、ひどく困ったという感覚はないです。通勤はどうだろうと思っていたんですが、バスが本当に便利でしたね。加布里は始発のバス停から近いので、ほとんど時間通りにバスが来ますし。帰りのバスは30分に1本ですが、これは北九州に住んでいた頃の感覚とほとんど同じで、特につらいとは感じませんでした。
――子育て環境についてはどう感じられましたか?
子どもたちがどこで遊んでいるのか、よく分からなかったのが残念でした。公園があまりないので、子どもたちだけで遊ぶところといえば、学校か、友達の家か、海か……という感じだと思うのですが、今回のトライアルステイで子どもたちに会えたのは、深江海水浴場くらいでしたね。子育て支援センターで会ったファミリーの方も「出かける場所が支援センターくらいしかない」とおっしゃっていました。子育てでいちばん怖いのが孤立してしまうことなので、もう少しファミリー移住者の方がどんな風に過ごされているのか、知ることができる機会があればよかったな、と思います。
――今後の移住についてのイメージははっきりしてきましたか?
糸島には広い土地があって好きなように家を建てられる、というイメージがあったんですが、それは変わりましたね。いい場所があっても市街化調整区域だったりして、そんなに簡単な話ではないんだということが分かりました。これまで来たことのなかった二丈などのエリアを知ることができたのも良かったです。また、子どものことを考えると、家や庭の広さは諦めても、同じ年代の子どもたちがいる分譲地の方がいいのかもしれないな、とも思っています。理想を言えば、家と庭がそれぞれ100㎡くらいあるといいんですが、駅に近い場所や分譲地ではなかなか難しいということも分かってきました。だからこそ逆に中古住宅、たとえば古民家をリノベーションした家などにも興味が湧いてきました。リノベーション物件はまだ見たことがないので、一度見てみたいです。移住するなら、海にも山にも近く、交通の便も良い二丈エリアに惹かれますが、具体的な移住についてはもう少しじっくり考えてみたいと思っています。
福岡市内にいると、馴染み深いようでいてどこか漠然としたイメージになりがちな糸島。3週間の生活を通してリアルな糸島を知ったことで、さらに深く知りたい部分が出てきた体験期間になったようです。