Gさん(第7期 50代 夫婦+母親 会社員)


応募の経緯・動機


農園を通して糸島とのつながりがあったGさん。いつかは自給自足の生活を、という思いから、トライアルステイに参加されました。

福吉地域の体験農園で大根の収穫
――今回のトライアルステイに応募されたきっかけをお聞かせください。

平成28年の5月から福吉地域にある体験農園に通っているんですが、そこでお世話をしてくださっている人がFacebookでシェアされていたのを見て、トライアルステイ事業を知りました。元々、リタイア後は郊外で自給自足の生活がしたいな、という漠然とした思いがあったので、住んでみることができるならと思って応募しました。


――暮らしてみてよかったことはありますか?

農園のある福吉地域にはよく来ていたんですが、加布里地域にはあまり来たことがなかったんです。住んでみて、思っていたより便利なことに驚きました。いと・しま号(高速バス)があるので天神に出るのもスムーズだし、カキ小屋が近くて、お酒を飲んでも歩いて帰れるのもいいですね。それから、糸島では車がないと生活できない、と言われることもありますが、加布里地域は202号線沿いにスーパーやドラッグストアが並んでいるので、困るというほどではなかったのも意外でした。もちろん、車があった方が色々なところに行けて楽しいので、ペーパードライバーの私も志摩芥屋あたりまで運転の練習をしてみました。糸島市内は福岡市内ほど車通りが激しくないので、これなら私も運転できるかもと少し自信がつきましたね(笑)


――トライアルステイ期間中はどんなところに行かれましたか?

滞在前から、この期間は具体的な移住先を探すことにあてようと決めていたんです。だから、ダイニングの壁に糸島市の大きな地図を貼り付けて、今週はこの地域、来週はあの地域、という風に、週末ごとに色々な場所を訪ねて回りました。いろんな地域を巡ることで、仁王像があり歴史の深い二丈一貴山や、オープンで見晴らしのいい志摩小富士、生活に便利な加布里など、魅力的な地域をたくさん知ることができました。


一貴山地区の大イチョウ

そんな過ごし方だったので、観光地的なところにはあまり行かなかったんですが、糸島の食べ物については満喫できたと思います。トライアルステイ物件の近所にあるカキ小屋では、近所に住んでいると言ったら、カキをたくさんおまけしてくれました。加布里地域の干物屋さんにも何度も通いましたよ。近所の方もよく話しかけてくださって、たくさんおしゃべりができたのも楽しかったですね。集落を回る中で、いくつかお店にも行きました。加布里地域の古民家カフェや、志摩小富士のブティックでは地域のことをたくさん教えていただきました。お店をされているのは移住者が多いんですね。お客さんとしても移住者がたくさんいらっしゃっていて、知り合いになることができました。


――通勤についてはいかがでしたか?

目から鱗の便利さでした。いと・しま号に乗って通勤していると、福岡市内に住んでいるときよりも歩く時間が減って、運動不足になったくらいで。ただ、今は福岡市内の中心部に近いところに住んでいるので、いくらでも遅くまで仕事ができるんですが、体験中は仕事の終わり時間に気を遣いましたね。いと・しま号の運行が終わってしまうと、JR加布里駅から歩くしかないので。移住することになれば、今、糸島市で社会実験が行われているパークアンドライドを利用してもいいですし、自分たちに合ったベストな方法を見つけられたらと思います。地域によっては車や自転車で駅やバス停まで行き、そこから公共交通機関を使うなど、いろいろな通勤パターンが考えられることがわかりました。


――他に困ったと感じたことはありましたか?

糸島の冬は寒い、というのはよく聞く話でしたが、そんな寒い中で灯油が切れてしまったときは少し困りましたね。灯油の巡回販売があると聞いていましたが、曜日が決まっていたんです。それで配達を頼んだんですが、お店を少人数でされているようでずいぶん時間がかかってしまいました。普段から暮らしていれば分かることだと思いますが、不慣れなのでそういうところは不便を感じましたね。それから、加布里地域は猫が多く、車庫に置いていた荷物を汚されてしまったのも困りました。夜が静かでとてもよく眠れたのは良かったんですが、その分、物音には気を使いました。母と台所で話していたら、外まで話し声が聞こえていた、というようなこともあったので。


庭にやってくる猫

――期間中移住についてのイメージはどうなりましたか?

期間中にたくさんの地域を回って、暮らしたい場所のイメージがだいぶ固まってきました。具体的には、海は見えなくても良いですが、海の近くが良いと思っています。砂浜が広がっているようなところより、加布里地域のように、漁村のようなところが心地良いと感じました。今は農園に通っていますが、いずれは自分で畑も始めたいですね。良い物件があれば積極的に移住を進めていきたいです。一旦糸島市内の賃貸住宅に引っ越してから、落ち着いて物件探しを進めていくのも良いな、と思っています。


――最後にトライアルステイ全体の感想をお聞かせください。

いくつかの物件で同時に複数組が居住体験を行えると、体験者同士で交流できて楽しかったかもしれないなと思います。全体としては、来てよかったと思います。通勤など、実際の生活のイメージが湧く経験ができたので、本当にためになりました。


漁村の空気が残る加布里の風景

トライアルステイを通して生活のイメージをつかんだことで、ふんわりとしていた移住のイメージが、具体的になってきたようです。