Iさん(第9期 40代 夫婦+子ども3人 会社員)


菜の花畑の中で
――糸島トライアルステイに応募した動機は何ですか?

私は北九州市出身で、その後父の転勤がありましたが小学校から高校までは福岡市に住んでいました。大学進学に伴い東京へ出て、長野県出身の妻と結婚。東京で約20年過ごしましたが、子育ては環境の良いところがいいね、という話をしていたところに、東日本大震災が起きました。九州の良さを知っていたし、仕事が見つかったことと、私の知り合いが先に熊本県に移住したこともあって、私たちも熊本県菊池市に移住しました。しかし都会へのアクセスや子どもの教育環境が気になっていた矢先に2016年に熊本地震が起こり、それを機に福岡への移住を考え始めました。夫婦二人とも海が好きで、豊かな自然があり、都会への交通アクセスも良く、海の近くに公共交通機関の駅があること、洗練されたお店が多いことなどで糸島市を選びました。


――トライアルステイ中は糸島でどう過ごされましたか?

平日は私は仕事で外出しているか、家で事務作業をしていましたが、妻は子ども達と近所を散歩したり海岸に行ったり、自主保育施設の見学に出かけたようです。子ども達は海が大好きなりました。暖かな陽気の日には2月なのに海に入って遊んだほどです。


冬ではしゃぐ子どもたち

休日は加布里漁港で釣りをしました。釣具店で釣り場を聞いたところ、2月はカレイが旬だと聞いて張り切ったのですが全然釣れず。奇跡的に1匹だけハゼが釣れました。また昼食に牡蠣小屋に行こうとしたら、朝9時頃から次々と車がやってくるので、あわてて出かけて朝から牡蠣を食べました。加布里は徒歩で牡蠣小屋に行けるのでいいですね。加布里神社やその裏の公園、海岸など散歩していて楽しい場所があり、住みやすい地域だと思います。糸島には山もあるので、二丈の真名子木の香ランドに水汲みに行きました。かなりの山奥で道が細く心配になりましたが、夏になったらキャンプに行くと楽しそうです。


釣りにもチャレンジ!

美味しいお店にもいくつか行きました。二丈深江にあるランチバイキングのお店は子ども連れで行けたし、野菜を使った多彩な料理が並んでいました。ただ残念ながら加布里には魚料理の美味しい有名店が2店ありますが、どちらも定休日で行けずじまい。また、妻と子どもたちが1週間ほど風邪で寝込んでしまい、あまり出かけられませんでした。もっといろいろ行きたかったです。


二丈深江にあるランチバイキングのお店

――糸島で生活してみて、印象が変わったことはありますか?

魚が新鮮で安くていいですね。福ふくの里や志摩の四季、伊都菜彩などの直売所に魚があるのが嬉しいです。妻は海のない長野県出身ということもあり、「魚が尾頭付きで、アラまでもらえるなんてさすが糸島!」とビックリし、気分が高まっていました。もっとアラ料理を覚えたいと言っています。今の住まいは熊本県でも山手のほうなので、野菜の豊富さにはあまり驚かないですが、糸島はみかん(かんきつ類)が安いですね。「はるか」が安くて、子ども達は大好物です。生搾りのジュースを直売所で見かけて買ってみたら子ども達がとても気に入って、安くはないですがつい買ってしまいます。


福岡市内へアクセスしやすく、海や山などの自然とのバランスもよいと思います。ただ次女と加布里から天神まで出かけたとき、行きは電車で、帰りは高速バスで便利でしたが運賃がやや高めで、大人は片道730円くらいかかりました。またバスも電車も加布里までの運行本数が少ないので、時刻を調べておかないと待ち時間がかかります。他に気になる点は、住む場所によっては子どもの通学は大変かもしれないことですね。街灯が少ない所もあるし、風が強くて通学距離が長そうです。その他は不便だと感じたことは特にないです。


新鮮でおいしいお刺身が食べられるのも醍醐味

――糸島で暮らしていく上で課題になるのはどんなことだと思いますか?

課題は自分たちの感覚に合う家探しですね。もっと空き家情報がほしいですし、空き家そのものももっとあればいいのにと思います。家族全員海が好きなので、海のそばの住まいも関心があります。だいぶ風が強そうですが(笑)。1ヶ月住んでみて、糸島は地域によって違いはあるけれど、どこも良い所なので糸島内の地域にこだわりはあまりないです。


――糸島での暮らしで重視するのはどんなポイントですか?

海側は気持ちよさそうですが、外海だと風が強いのが気になりますね。志摩の小富士のような内海だと穏やかそうです。地域コーディネーターさんにご案内していただいた山側の長糸の家は生活利便施設まで距離があったりしますが、家の前に川があって南向きで、ここに住んだら子どもたちも気持ちよさそうだなと感じました。海側でも山側でもそれぞれ良い点そうでない点があるので、まだどこが良いとは決めきれていません。糸島はどの地域も暮らしやすそうな気がしますし、暮らしたい地域を絞るよりも、どちらかと言えばどんな住まいで暮らすかを重視したいです。便利さと自然のバランスがとれている場所で、家族と気持よく暮らせる古民家が見つかるといいですね。妻は以前子どもの造形教室をやっていたので、妻の制作作業場があると更に良いです。大層な金額になりそうですが(笑)


漁港に沈む夕日

 
――地域の活動や行事にはどのように考えていますか?

今住んでいる熊本でも土日の草刈りなど、地域の行事や清掃などに参加しているので特に違和感はないです。平日で仕事に重ならなければ参加します。体力勝負の行事などは少し不安がありますが、高齢者の多い地域ではまだまだ若手世代だと思うのでできるだけ頑張りますよ。


――糸島で暮らすならどんなことしたいですか?

せっかく新鮮な魚介類が手に入るので、魚介を使って美味しい物を色々作りたいです。私は燻製作りが趣味なので自宅で魚や牡蠣など魚介で美味しい燻製を作りたいです。美味しいお酒が飲めそうでしょ。糸島の直売所には、地域性のある惣菜や、漁で獲れた小さな魚を上手に料理したおかずがあります。「センスが良いと思うし見ていて作りたくなってくる」と妻は言っています。美味しい物を食べに行くのも好きですが、自分たちで作るのも好きなので、そういう糸島の良さを感じる暮らしがしたいです。