Aさん(第1期 20代 夫婦 公務員)
――糸島トライアルステイに応募した動機は何ですか?
(夫)僕と妻は大学時代を熊本で過ごし、九州になじみがありました。富山に戻って就職し、結婚してからも、僕も妻も職場は異なりますが公務員として働いていました。
(妻)私は九州に帰りたい気持ちがあり、九州で一からやり直そうと話し合いました。それで希望者に対し積極的にサポートしている地域をインターネットで調べて、糸島市を見つけました。福岡県には友人も多いし、いいなと思いました。
(夫)福岡市や妻の実家のある春日市は僕からすると、かなりの都会です。僕は田舎育ちなので、のどかな環境で暮らしたいと思っていました。妻から勧められて糸島市を調べてみると、海があって釣りができるし、福岡市への交通も便利で暮らしやすそう。それで5月に下見と観光を合わせて糸島市を訪れました。その時に飲食店の人や市役所に移住相談すると、「いいところだからおいで」と誘われました。自然や人の良さ、温かさが直感で伝わりました。
(妻)その後、富山に戻ってからたまたま糸島市のホームページを見たら、この移住体験の情報を見つけて、これは申し込むしかない!って思いました。
――糸島滞在期間中はどんな暮らしをしていましたか?
(夫)釣りが好きなのでいろんなところで釣りをしました。船越、福の浦、野北、唐泊、箱島神社の裏の岩場などで、友人と行ったり、地元のおっちゃんたちと一緒になったり。釣れなくても海がきれいなので楽しかったです。友達が遊びに来たときはキスを30匹くらい釣って、ひたすらさばいて、天ぷらパーティーをしました。自然を満喫した感があります。
観光スポットもよく行きました。生活する準備のつもりで来たのもあるし、糸島のいいところをたくさん見ると愛着もわいてくると思ったので。ただ雨が多くて行けずじまいのところもあります。自然の豊かなところは晴れたらきれいですが、雨が降るとそのあおりを受けますね。雨の日は食事に出たり、のどかに過ごしたりしていました。
(妻)ハマボウが咲いている雷山川沿いは好きですね。ハマボウが一日でしぼんでしまう花だと知らなくて、初めて見に行ったときは時間が遅くてあまり咲いていなかったんですが、2回目はたくさん咲いていました。道沿いにアガパンサスとか、いろんな花が咲いていることが多くていいなと思いました。
(夫)特定の場所というより、買い物の道中とか全体的な雰囲気がよかったです。だから移動が楽しかったです。
――糸島ではどんなところで買い物をしましたか?
(夫)行った先々でおいしそうな野菜や魚介類を買いました。直売所で魚のパックを立てて売っているのにはびっくりしました。まだ生きている鮮度のいいイカを見つけて、急いで帰ってすぐに刺身にしました。
(妻)実際ここで暮らすなら、スーパーでお肉や調味料など買って、野菜は「伊都菜彩」、魚は「志摩の四季」で買うことになりそう。思ったよりスーパーは遠くなかったし、車があれば問題ないですね。
(夫)車で移動するのでガソリン代はかかりますね。仕方のないことなのでそれほど気になりませんが。
(妻)直売所の肉はブランド肉なので少し高め。でも糸島豚はとてもおいしかったし、納得の価格です。それと、桜井の直売所の「にぎやかな春」は気に入りました。「つまんでご卵」のたまごかけご飯も食べたし、黄身もつまんでみました。ヤギもいましたよ!
(夫)お店の品揃えを見るだけでも面白い。おいしいだけでなく、その土地のこだわりのあるものなど、どんな思いで集めたのかな、って想像します。
――地域の人との交流や行事はどのように考えていますか?
(夫)滞在中は区長さんと班長さん、地域コーディネーターの方にお世話になりました。班長さんご夫妻は居酒屋に連れていってくれて、暮らしの話や雑談などしながら楽しく過ごしました。区長さんはお忙しいのに1、2時間ほど家に上がらせてもらってお話を聞きました。行政区(※)の色々な資料を見せてくれたり、区費、消防団、行事などの話をしてもらったり。
(妻)公民館での集まりにも呼んでくれて、集まった人に紹介してくれました。「もう長糸の人だと思っている」と親切にしてくださいました。ほどほどの距離感を保ちながら、アドバイスをいただきました。過干渉だと感じることはなかったです。
(夫)地域の行事や交流は時間の都合がつけば参加したいですが、今住んでいる地域でも仕事が忙しく、なかなか参加できずにいるので、こちらでもどうなるか分からないです。参加できたらいいなという気持ちは持っています。
※市からの連絡文書の配布・回覧など、市政の円滑な運営を図るための、市内163の区域のこと。ほぼ行政区単位で、地域住民による自治会や町内会が組織され、地域の活動が行われている。
――糸島で暮らしていく上で不便だと思うことや課題に思うことは?
(夫)安心して利用できるトイレがあちこちにあると助かります。特に海にはトイレがないので困ることがあるんです。不便だと思うのはそのくらいです。街と比べると足りないものはもちろんありますが、必要なものはしっかり揃っているし、僕は人が多すぎる都会は苦手ですし。
(妻)朝の通勤ラッシュの状況を見そびれてしまいした。込み具合は見ておきたかったですね。それと、物件を借りるにあたって、福岡県内で働いて収入があることが条件になっている場合があるので、二人のうちどちらかだけでも、パートでも仕事を見つけなければいけない。家がないと仕事が見つからないし、働いて収入がないと家が借りられないし、どういう順序でやればいいのか迷います。できれば糸島市内で正社員、正職員というのが希望です。
(夫)お世話になる地域の方のコミュニティの中で役に立ったり関わったりできれば一番いいのですが、そううまくいくか。優先度としては職場は糸島市内希望ですが、福岡市内まで働きに出ることを考える必要もあるとは思います。
(妻)糸島市で暮らしたいので、ハローワークに登録してきました。これからはパソコンなどで調べます。でも糸島市内に絞ると一気に求人が減ります。福岡市まで入れると多くなりますが、仕方ないですね。
――糸島で暮らしたい地域は?
(夫・妻)この長糸小学校区内の「本」という行政区が一番いいですね。住んでみて、日常の暮らしの下地が少しできたここがいいです。
(夫)本行政区以外では特に住みたい地域はなくて、単純に物件が多く、選びやすいから前原やJR沿線ですかね。富山から糸島市に来て暮らすことが最優先なので、住まいの条件にこだわって時期がのびのびになったり、立ち消えにしたりしたくないですから、ハードルは下げてもいいです。
(妻)とりあえずすぐ住める賃貸で生活や仕事の基盤を整えてから、引っ越してもいいと思います。
――糸島での暮らしで大事にしたいことは?
(妻)今まで仕事でいっぱいいっぱいだったので、地域の公民館での集まりに参加できるくらいの余暇を持ちたいです。公民館って意外と活用できる場なんだなと知ったので。
(夫)週に1,2回休みをとって、イベント的な楽しみというより、糸島を日頃の生活の中で穏やかに楽しんでいければいいですね。
(妻)子どもが生まれたら、自然豊かなところで遊ばせたい。外で元気いっぱい遊べば体も強くなるでしょう。長糸校区は地域ぐるみで子育てをしているので、人と接する力を養えたらいいですね。
(夫)僕達が地域の人と顔見知りで育ってきた世代なので、子どもにもそういう育ち方をしてほしいです。糸島は自分たちの感覚にも合っていて、身構えることなく暮らせそうな気がしています。本当にいろんな人が声をかけてくれて、移住者を歓迎してくれて過ごしやすかったです。本当に感謝するばかりでした。