Dさん(第4期 50代 夫婦+子ども〈今回は奥様が単身参加〉 会社員)


――今回のトライアルステイに応募されたきっかけをお聞かせください。

今回は、家族一緒にということではなく、私個人の興味で申し込みました。以前から、自然豊かな場所に小さな居場所をつくることに憧れていたんです。来年、夫が定年退職を迎えるタイミングでもあるので、そろそろ具体的に動いてみようかと、一歩踏み出してみました。


――「小さな居場所」というのは、素敵な響きですね。実現したら、どのように過ごすことをイメージしていますか?

夫は趣味がウインドサーフィンで、休日のたびに海へ出かける人。逆に、私が好きなのは山歩き。糸島市の井原山、雷山をはじめ、四国の山も楽しんできました。山には色鉛筆を持って行って、木の新芽のような季節の彩りを見つけたとき、黙々とスケッチします。それが、私にとっての至福の時間。それぞれの時間を楽しむことが、私たち夫婦の理想なんです。だから、小さな居場所は、基本的に自分だけで過ごす山小屋のようなイメージですね。そこに時々行って、自然を五感で感じたい。お茶を入れてソファに座り、大好きな木の香り、鳥の声に浸りながら、ゆったりと自分と向き合う時間を過ごしたい。泊まりたければ泊まることもできる、という程度のスペースがいいなあと思います。ずっと都会暮らしをしてきたから、自然に癒される空間がほしいのかもしれませんね。


――糸島トライアルステイは、山の中ではありませんでしたが、実際に宿泊していかがでしたか?

仕事や身内の都合で短期間しか泊まれませんでしたが、現実的な気づきがありました。ある日、玄関を開けると、すぐ足元をシュルシュルッとヘビが横切ったんです。70センチはあったかな。建物の塀の辺りまで移動して、そこからこっちをじーっと見ているんです。ヘビを見るのは何十年ぶりのことで、ビックリしました。その経験で、ハッとしたんです。長年、山で暮らしたいと言ってきたけど、ヘビがこんなに怖いのに大丈夫かなって…。トライアルステイのおかげで、「憧れの生活」について具体的に想像するきっかけになりました。


散歩中に癒された小学校校庭の大木

 
――楽しい時間もありましたか?

ここから通勤したので寝るだけで終わる日も多く、十分生活を体験できなかったのが残念でした。ただ、その中でも、早朝の散歩は思い出に残りました。近くの小学校校庭にある大きな木や川のせせらぎに癒されたり、色づき始めている田んぼ、稲穂の香り、終わりかけの彼岸花に季節の移ろいを感じたり。1時間くらい歩いて、リフレッシュしていました。宿泊体験の最終日、やっとドライブする時間が持てたので、たまたま来ていた夫と「白糸の滝」に行きました。10月になったばかりですが、空気が冷たく、モミジも少し色づき始めていることに驚きました。気持ちよかったです。今住んでいるのは、戸建てが立ち並ぶ住宅地なので、夜も隣近所の音や車の音が聞こえます。ですが、ここでは秋の虫の声やご近所の犬の声が聞こえるくらいで、静かな日がほとんどでした。仕事を持ち帰った日もありましたが、集中してやれた気もします。


夫とドライブで足を伸ばした「白糸の滝」

 
――今回の滞在を体験して、夢に近づくため、今後はどんなことをしようと思っていますか?

この度の体験を通して、自分でも安心して住めるところを選ぼうと思うようになりました。これは、物件探しの前に気付けて良かったです。少しずつ、具体的な場所を見て回るつもりです。友人の中にも、自然に囲まれた場所に家を建てて住んでいる人がいます。今度訪ねたときは、実際に暮らしてみるとどんなことが起こるのか、情報収集しようと思います。50代のうちに、手の届く物件を見つけたいですね。


――最後に、糸島市の印象をお聞かせください。

福岡市西区に住んでいるので、糸島市にはよく来ています。山歩きのほかは、娘とのドライブでカフェに行ったり、お寺に行ったり。木工が趣味だった時期もあって、そのころは、糸島市木工体験実習館「トンカチ館」にも通っていました。山、木工、作家さんの木工作品…と、「山」を身近に感じ、楽しみやすいところも、糸島市の大きな魅力だと思います。