Hさん(第8期 40代 夫婦+子ども1人 会社員)
――糸島トライアルステイに応募した動機は何ですか?
糸島市には学生時代から遊びに来ていました。今も毎月1度は子どもを連れて糸島を訪れていますが、来るたび感動の大きさが、転入を考えるきっかけとなりました。私が糸島市で感動することの8割は食に関することです。結婚し、子どもが生まれると、家族に食べさせる食材への意識が深まりました。朝獲れた新鮮な魚をいつも食べられる幸せは、現在住んでいるところではなかなか考えられません。私は料理が好きで、糸島市に住めば毎日新鮮な魚や食材が食べられるし、料理も楽しくなりそうだと思い、実際に住んでみたらどうなのかを試したいと思いました。夫は、移住することについてはそれほど負担でないようです。もし引っ越したら私のほうが家にいる時間が長いので、住む場所については私の意見を尊重してくれます。糸島市は広々としていて自然が多く、のびのびとした子育てができそうなことも魅力です。糸島市に近い福岡市西部方面には、知り合いが多く、心強さもあります。
――トライアルステイ中は糸島でどんな暮らしをしましたか?
滞在当初の1週間は夫も休暇をとって、「伊都安蔵里」や「福ふくの里」、「つまんでご卵」、「白糸酒造」など糸島のハイライトを回りました。中でも「伊都菜彩」に行く事が多かったです。野菜や乾物などを買いました。「伊都菜彩」の近くに「ファームパーク伊都国」があるので、子どもと夫が遊んでいる間に、私は買い物ができました。ほかには、近所の直売所「ねぎぼうず」で安く野菜を買ったり、肉は「トラヤミートセンター」に行ったり。JR筑前前原駅の駅ビルにある「Aコープ」は素晴らしい品揃えですね。今の住まいの近くにはあんなに充実したスーパーはないです。2階には100円ショップもあって便利です。
革製品のクラフトショップにも行きたかったですが、子どもが小さいので今回は見送りました。外食はあまりしませんでしたね。「志摩の四季」内の「志摩の海鮮丼屋」に行ったくらいです。食材がおいしいので、自分で買ってきた材料で料理をすることが多かったです。野菜を煮付けにしたり、小アジを南蛮漬けにしたり、夜は鍋にしたり。高級魚と言われるアンコウも普通に売っていて、鍋にして食べました。
――糸島市で生活してみて、特に気に入ったのはどんなところですか?
子どもと一緒に、田んぼのあぜ道など近所をよく散歩しました。特にここが気に入った、というスポットはなく、子どもと一緒に散歩しながら眺めた夕陽とか、田んぼの散歩道とか何気ない日常の環境が良かったです。子どもに何が楽しかったかと尋ねると「たんぼ」って言います。自然が身近に感じられて、子どもも楽しかったようです。夫も大分県日田市出身なので、糸島市ののどかな風景を気に入っていました。観光で来ていた時はどこかを目指して出掛けていましたが、暮らすとなると、日常の環境に目が行きますね。食材は新鮮で豊富で本当に良いですね。直売所にはユズやカボス、レモンなどさまざまな種類のかんきつ類がありました。一般的なスーパーだと、どれか一種類しか置いていないことが多いです。旬の豊かさが感じられますよね。
――糸島市で住んでみたい地域はどこですか?
怡土校区の染井という地域に興味があります。体験移住した地域よりも福岡市に近いところです。JR周船寺駅まで自転車で行けるし、県道49号線にもアクセスが便利。地域コーディネーターの方にお会いし、地域の話をいろいろと教えてもらいました。また、市街化調整区域では新しい家を建てにくいとも聞きました。ただ地区計画という手法を用いると建てられるようになるそうなので、そこは期待しています。
――糸島市で暮らしていく上で課題になるのはどんなことだと思いますか?
地域によるのかもしれないですが、12月は思った以上に寒かったです。暖房がなければ夜の気温は9度くらい。オイルヒーターを持参しましたが、最大出力でも部屋の温度は14度。マンションでは18度くらいまで温まります。石油ファンヒーターも使いましたが、短期間の滞在で2回灯油を買い足し。光熱費が気になります。中古の戸建てを購入するなら、寒さは念頭に置いておく必要がありますね。
また、私は個人的に虫が苦手なので心配です。冬なのに大きなゴキブリが出たのはショックでした。夏はもっと虫が多いと思うとゾッとします。糸島に住んでいる方は虫がいる環境を受け入れているのかもしれませんが、私には悩みどころです。物件価格は思っていたより高かったです。波多江に住んでいる知り合いの方に案内してもらった新築物件は、波多江駅から徒歩約15分ほどで3,000万円弱でした。予算の都合もあるので、中古マンションを検討するかもしれないです。
市の職員の方から「新築一戸建てを買っても、隣の庭木やペットのことなど戸建ならではの問題もあるかもしれないから、まずは賃貸で住んでみては」と勧められ、なるほどと思いました。中古物件だと虫や寒さなどの問題があるし、新築だとその地域には一斉に新しい人が集まるので、マナーや地域の決まりごとがどうなるか分からない。そういった問題も考えなければならないと気づきました。
――地域の活動や行事にはどのように考えていますか?
地域によっては班長さんなどの役が回ってくるんですよね。私はそれほどではないですが、夫はちょっと気にしているようです。嫌だというより転入して受け入れてもらえるのか、うまくできるかが気がかりだそうです。一方で、地域に入ってそういう役割をすれば、馴染んでくるんだろうとも感じています。
――糸島市で暮らすならどんなことしたいですか?
子どもがのびのびと育ち、良い食材でおいしい料理を作って食べたい。私の希望はそれだけですね。住まいは自然いっぱいの地域でなくてもいい。福岡市に近い染井でも車ですぐに海に行けますから。自然のあるところにぱっと行って、思いっきり遊んで帰れるくらいの、自然に近い地域を拠点にできたらいいですね。