地域のコミュニティが自分にはとても良かったから、人にも伝えていきたい。

子どもたちが学年関係なく下の名前で呼び合っているのがいいですね

自宅のダイニングで、にこやかな表情の杉本拓郎さん

 杉本拓郎さんは、糸島市に隣接する福岡市西区から移住して3年になります。新築しての移住でしたが、住宅分野の仕事であったことから、移住後まもなく、同じ校区内の住宅地にモデルハウスを建設。公開期間終了後に家族で入居することになり、先に建てた自宅は、友人家族に賃貸しています。

 二丈エリアに決めたのは、杉本さんが通った福岡市の高校の同級生に二丈出身者が多く、良い印象を持っていたことから。また子どもが通うことになる小学校の児童数が、当時通っていた福岡市の学校の一学年相当と少なく、「マイペースな子どもの性格に合っている」との判断もありました。
 上の子は6年生、真ん中の子は4年生。「学校では、学年関係なく、皆が下の名前で呼び合っているのが良かった。いじめも聞かないし、先生の手も届いていると感じています」
 
  
近所の子どもたちとミカン狩り。里山が近く、野遊びの格好の場所

 杉本さんは福岡市内の会社まで、県道の山越えルートを使って車通勤しています。「山の緑を眺めながら、信号も少ないし、快適です。東京にいた頃は朝の満員電車が嫌でしたが、今は朝が楽しい」。冬の寒い朝でもテラスに出て入れたてのコーヒーを飲む。裏の雑木林から野鳥の声が聞こえる。こんなふうに過ごす朝の時間は、これまでなかったそうです。

 自宅から少し下ったところには、一面の田園地帯が広がっています。そこを電車が走る様子は、杉本さんの大のお気に入り。「とても絵になる風景。ホッとします」

 
見渡す限りの田園を電車が走る。この光景は、移住者だけでなく地元の人にとってもふるさとの景色といえるもの
 

地域の慣習や生活の知恵を、子どもたちにつないでいきたい

 杉本さんは、移住後に2つの地域の暮らしを経験したことで、同じ校区内でも地域によってコミュニティのありようが異なることを実感したそうです。
 最初に住んだのは古くからの集落で、お宮の祭をはじめ昔ながらの習慣が根付いています。杉本さんはそうした催しに参加する中で、地域とつながる楽しさや大切さを知りました。「地元のお年寄りとふれあう貴重な機会ですし、お宮の“神待ち”やしめ縄づくりなど、子どもたちに継承していきたい文化だと思います」

 今の住まいは比較的新しい住宅地にあり、新しいコミュニティが育っています。杉本さんは、その環境を楽しみながら、最初に住んだ地域の交わりが忘れられず、時間を見つけては子どもと一緒に両方の地域行事に参加しています。
 
郷愁を誘う夏の一夜。今の住まいで近所の子どもたちと

 「地域のコミュニティが自分にとってすごく良かったから、仕事のお客様にも同じように感じてもらえるように」と、住宅や宅地購入を検討する人へ、地域のことをできるだけ伝えるようにしています。

 「一貴山校区に限らず、糸島の、この地域が好きで移住しました、という人が増えるといいですね」という杉本さんの言葉は、移住を考えるときの大切なことを含んでいるように思います。
 

一貴山校区は糸島有数の耕地面積を擁する。朝に夕に、また季節ごとに美しい表情を見せる
 

プロフィール(2022年12月現在)

●杉本拓郎さん 40代

●糸島移住歴 3年

●仕事 会社勤務

●以前の住まい 福岡市