「なんとかなるさ」で東京の勤めを辞めて糸島へ。さまざま出会いと縁が重なってちょっとすごい展開に。

取材場所へふらりと自転車で現れた舛野さん。なんと移住先を決める前に勤め先のIT会社を辞め、夫婦で「どこに行こうか」と探し始めたという。飄々とした風貌からは思いもよらぬ行動力。移住までの顛末を心地よいテンポで話してくれた。

いつかは地方に行きたいよね、って二人で話していました。実家のある広島に帰るのもあるけど、まだいいかなと。そこで移住先をいろいろ探して、実際に足を運んで、というのを4か所くらい。で、糸島にたどり着きました。それまで糸島のことは知りませんでした。
糸島に決めた理由は3つあります。一つは、都市へのアクセスの良さ。実は東京での生活が楽しかったのもあって、街での買い物などもまだ楽しみたい。二つ目は海も山も近いこと。海はそんなに意識していませんでしたが、見るとやっぱり和みますね。その自然と紐付いて食の豊かさがある。三つ目は、人の良さ、移住者も多いということ。市役所で移住相談に乗ってもらい、また移住者の話などはゲストハウスに泊まって聞けたので、そこは安心できました。

初めて訪れた糸島を、感度の良いアンテナで評価し、移住を決めた二人
 

勤め先からの慰留もあったそうだが、舛野さんの意志は固かった。夫婦二人、仕事も住まいも同時に探すことに不安はなかったのだろうか。

もちろん仕事は心配ではありましたけど、糸島だったら、福岡市も含めて探せば求人は少なくないはず。ITは盛んなところだし、という見通しはありました。ちょうど糸島市で地域おこし協力隊の募集が始まるところだったので、妻が応募して決まりました。本当は僕が応募したかったんですけど、ハードルが高かった。妻が募集分野に経験があったのが幸いでした。僕の仕事は知人の紹介で決まったもので、糸島市が誘致した企業です。
アパートは不動産屋さんにふらっと立ち寄った時に、新築アパートが見つかった。仕事の不安がなくなり、家も決まって、人も良さそうだ、これはもう進むしかないと。

糸島での生活をスタートした二人。田園風景や海辺を散策するのが日課に
 

何もかも良いタイミングで進む中、まったく気負いのないところが舛野さんの魅力。不思議な縁も重なって始まった糸島生活やいかに!?。

家賃は東京の半分です。食費は下がり、満足度は上がった。水道代は少し高いと感じます。休日は二人とも土日なので、一緒にご飯を食べに行ったり、カメラ片手に散歩したりしています。最近はアパートの隣に畑を借りて野菜を作っています。ジャガイモがたくさんとれました。先日はナス、トマト、ピーマンを植えました。こんな暮らしのイメージは東京にいる頃からありましたよ。自然が好きだし、何か作ったりするのも好きですし。
移住間もない頃は車がなくて困りましたね。移動は自転車と電車と、たまにレンタカー。でもゆっくり近所を散歩できる期間があってよかったなと思います。今は車は2台あります。
バンドをやりたいんですが、仲間探しがちょっと難航しています。趣味の仲間を探したいときに、やはり人口が少ないと感じます。

キャンプにもよく出かけるという舛野さん。自然の中の過ごし方も独特のスタイルがありそうだ
 

糸島が好きなら「なんとかなる」。これから移住する人へ、舛野さんらしいアドバイスをいただいた。

今の会社の中にも、聞いてみると、東京から縁もゆかりもなく移住してきた人がちらほらいます。なんとかなる、糸島が好きならなんとかなる。以前から移住を考えるときに、「ご縁」みたいな話はよくしていて、新築アパートが建ったのもそうだし、ゲストハウスに泊まったときに、やはり移住相談に来ている家族がいて、その方が今、たまたま同じアパートの隣の部屋に住んでいます。

 

移住して2年、これからの計画を尋ねると、なんと土地の購入が決まり、新築する予定だという。

 

今のアパートからそう遠くないところに土地を買い、家を建てようと思っています。2階建ての2階からぎりぎり海が見えるかどうか、というところ。山も海も近い気持ちのいい場所です。完成は1年半くらい後。メーカーは決まっています。いずれは家の一部を店舗にして、妻が作る菓子などを販売できたら、と考えています。。

緑あふれる環境。ここに二人の新しい住まいが建つのもまもなくだ  

なんだかすごい展開だが、初めて訪れた糸島を選んだ直感が正しかったと言ってよいのかも。舛野さんの、楽観視しつつ準備も怠らない姿勢が功を奏しているように思える。二人がこれからどんな糸島ライフを築いていくのか楽しみだ。

プロフィール(2021年4月現在)

●舛野生太さん 30歳

●糸島移住歴 2年

●仕事 会社員

●以前の住まい 東京都