—移住先に糸島市を選んだ理由を教えてください。

田舎が好きで、都会に住むことにはあまり魅力を感じていませんでした。本当は糸島でも自然に近いところで暮らし、畑作業をしたいと思っていたんです。ただ、年を取ったときのことを考えると、不便な場所で暮らすことに不安がありました。また、ある程度便利な場所のほうが、もし別の場所に住みたくなったときでも家を貸したり売ったりしやすいと考え、住むところを今の場所に決めました。息子の学校へも通いやすくてよかったと思っています。

—現在の仕事について教えてください。

沖縄県にある環境学習活動などを国内外で行っているNPO法人の事務局長として働いています。今年で11年目になります。糸島に移住する前の沖縄に住んでいたときから続けています。 沖縄では事務所に通勤していたのですが、最初の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出たタイミングでテレワークになりました。その後、夫が福岡で働くことになったため、テレワークで仕事を続けながら2021年8月に糸島に移住してきました。 現在は9時から18時まで、自宅で仕事をしています。現地じゃないとできない業務もあるため、月に1度沖縄に出張しています。

—具体的な仕事内容について教えてください。

主な仕事は、事務局スタッフの業務管理です。毎朝9時にオンラインで朝会を開いて、スタッフの業務内容や進捗を確認しています。もう1つが研修の企画・運営です。研修をオンラインで行うため、オンライン研修用の動画編集なども行っています。元々、動画編集の技術を持っていたわけではありません。コロナ禍で研修をオンラインにせざるを得なくなり、必要に迫られて身につけました。ソフトを買って、YouTubeで「動画編集の方法」を検索して、手探りで動画編集について学びました。

—対面での仕事からテレワークに移行し、困ったことなどありましたか。

職場には新しいITツールをうまく使いこなせない人もいるため、テレワークに難色を示す雰囲気もありました。でもそんなことをいっていられない状況でした。 いざ始まってしまえば、オンライン会議はだらだらと雑談することもないし、テキパキと仕事が進むようになったと感じています。コミュニケーションが減った分を補うためにチャットツール※を使い細かくやり取りをしていますし、少しでも「スタッフの様子がおかしい」と感じたらビデオチャットにつなげて直接話をしています。書類作成でつまずいているスタッフがいたら、画面を共有して一緒に編集するなど、ITツールを使うことでやりやすくなった仕事もあると感じています。※PCなどでリアルタイムにコミュニケーションをとることができるコミュニケーションツールのこと
ただ個人的には、外出しなくなったことは寂しいです。以前は通勤途中で買い物に寄るなど小さな楽しみがあったのですが、それもなくなってしまって。業務時間が固定なので、気ままな外出がしづらいため在宅時間が長くなり、少し気詰まりに感じています。気分転換に前原テレワークセンターを使ってみようかなと思っています。

—テレワークをしていて良かったと感じることはありますか。

息子の帰りを家で待てることですね。テレワークになるまでは、保育園や放課後児童クラブに息子を預ける時間が長かったのですが、自宅で仕事ができるようになり、息子に「お帰り」と言えるようになりました。そもそもテレワークができていなかったら、夫だけ単身赴任になり、家族が離れ離れになっていたかもしれないし、私が離職しなくてはならなかったかもしれません。仕事を続けながら、家族が一緒に過ごせる環境をつくることができて良かったと思っています。

—糸島でお気に入りの場所や食べ物、オススメのものを教えてください。

野菜や肉、魚と、食べ物は本当においしいです。買い物は直売所の「一番(いちばん)田舎(でんしゃ)」や「志摩の四季」に行くことが多いですね。買い物を通して地域とつながれたらいいなと思っていて、日用品もなるべく商店街で買おうと、いろんなお店をチェックしています。動画編集のためにパソコンを強化したのですが、これも地元のパソコン修理店に相談して改造したんです。それから、家の近くの田んぼや山のある風景も好きです。自分の故郷と似ていて心穏やかになれるんです。

—糸島での休日の過ごし方や、仕事の息抜き方法を教えてください。

引っ越して来たばかりでまだあまり出かけられていないのですが、自転車が好きなので、いずれ家族でサイクリングに行きたいですね。仕事の息抜きは、リビングのソファで音楽を聞きながらコーヒーを飲んだり、沖縄から持ってきた植物の世話をしたりと、家で過ごすことが多いです。本当は山歩きをするのも、海岸を歩くのも、虫を観察するのも好きなのですが、その楽しみは今の忙しさが落ち着くまで取っておいています。